TSUKUSHI AOYAMAのホームページ

トップへ戻る インデックス
← 前へ 次へ →

生物とは何か


 生物とは何か

 我々は、生物といっても地球上の生物しか知りません。宇宙でも適用できる生物の定義はまた後ほどお話しますが、まずは地球の生物を観察した上で、あらためて生物って何?
図38「生物とは」に示したとおり、以下の4つの性質を持っているものは生物、他(4つの内一つでも該当しないもの)を無生物とします。

(性質その1)生物はこの宇宙空間上に存在する物体であるが、内部と外部との境界面をもつ。この境界面で囲まれた領域を細胞と呼ぶ。またこの境界面を細胞膜という。(補足)
 細胞膜を通して外部から一部の物質(空気や水など)が容易に細胞内に進入したり出たりする。細胞内部には細胞膜を通過しない細胞質(遺伝子DNAやたんぱく質のような高分子化合物)といわれる物質が存在する。
例えるなら、細胞とは虫かごの中に石ころを入れたようなもの。かごが細胞膜にあたり、かごの中に空気が容易に入り込める。石ころが細胞質であり、常にかごの内部にある。

(性質その2)細胞内に取り込まれる物質と排出される物質が異なる場合がある。ということは細胞内で何らかの化学反応が行われているということ。
たとえば細胞内で行われる光合成反応は、取り込まれる物質として CO2と H2O、排出される物質として H2Oと O2 という具合に変化する。

(性質その3)細胞内に取り込まれるエネルギーが、別のエネルギーに変化して排出されることがある。
取り込まれるエネルギーは、主に化学エネルギーと熱エネルギー。排出されるのは、主に運動エネルギー(動物の場合)、光エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギーなど。よって以下のことが成り立つ。
(細胞内に取り込まれたエネルギーの合計)〜(細胞が外部に放出したエネルギーの合計) (〜とは、ほぼ等しい、という意味)

(性質その4)生物は生物の内部にて生物を作り出す(生み出す)。
自分と同じ生物を作り出す。というのは正しくない。なぜなら同じものって何ですか?この世に全く同じものなんて存在しませんよ。

このことを自動車(普通の乗用車)を例に説明すると、自動車のボディーを細胞膜とみなすと性質(1)が満たされます。ガソリンと空気を取り込んで二酸化炭素を放出する点で上記(2)を満たします。そしてガソリンのエネルギー(化学エネルギー)を自動車が走るための運動エネルギーやヘッドライトの光エネルギーに変化させるという点で(3)も満たします。ただし最後(4)の内部から生物(自動車)を作りだすことは不可能です。したがって、自動車は生物ではありません。(当たり前)
もし自動車ではなくロボットだったらどうですか?自分で自分を組み立てる優れもの。ただし内部から作り出すという点でNGです。

問題、人間が回虫(寄生虫の一種)の卵を食物とともに飲み込みました。それが腸内で孵化して成虫になり、肛門から出たら、回虫は人間から生まれたのでしょうか?
学校の先生に聞いてみてください。もちろん性質(4)は満たしません。あくまで内部から生まれなければ親子の関係にはなりません。回虫が生まれたところはその人間の腸内ですが、内部ではなく外部です。

(補足) 一部誤解している人がいますが、ウイルスは生物ではありません。なぜなら細胞(細胞膜で囲まれたもの)ではないからです。(ただし場合によっては生物として分類することもある) ウイルスは遺伝物質(DNAまたはRNA)の周りをたんぱく質が包んでいるだけの構造。いわばただの物質です。ただし遺伝物質は細胞内に侵入すると増殖します。と言う点から見て、ウイルスは生物と無生物(ただの石ころや水など)の中間体とみなされています。つまり生物と単なる物質との明確な境界線などないのです。生物も(我々人間を含めて)、物質(すなわち原子)でできている。さらにどちらも物理化学の法則に従う点においては、無生物とまったく同等なのです。

ご意見・ご質問