何者も揺らしていないのに、家の戸や柱、あるいは家具がかすかにカタカタと音を立てて鳴る。もちろん地震ではない。
西洋では「ポルターガイスト(騒霊)」と言う。その場には思春期の子供がいて、その子が意志の力で物を動かしてしまうと言われているが、そんなことはありえない。
思春期の子供の心理を知れば原因は自ずとわかる。まさにその子供が引き起こしているのである。
ただし、日本の家鳴りはそれとは異なる。母親から聞いた話では、幼い頃よくこの家鳴りを体験したそうである。
夜、決まった部屋の決まった戸だけがかすかに音を立てて振動している。しばらくすると「ポー!」という汽車の汽笛が遠くから響いてくる。家から汽車の走る線路までは1キロ近くあったという。
この原因はもちろん汽車の振動である。汽笛が空気を伝わるスピードよりも、地面を経由する振動の方が速く伝わる。特定の戸だけが音を立てるのは、そこだけ立て付けが悪かった。
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