何ともおかしな名前の妖怪である。立派な身なりをした旦那風の年配の男が、裕福な家に勝手に上がり込んで、座敷でゆうゆうとお茶を飲む。
その家には家人が多数いるのにも拘わらず、誰もそれをとがめない。しばらくするとその男はまた堂々とした態度のまま、(何もとらずに)その家を出て行く。後から家人が「あの人は誰だったんだ?」と不審に思う。泥棒でも空き巣でもない。そして二度とは現れなかったという。
これは単にその男が自分の家と勘違いしてしまっただけである。あまりにも態度が大きく悠然としていたため、誰も不審に思わなかった。
これとは別に、海上に大きな玉のようなものが浮き上がってくる。捕らえようとすると、ぬらりと沈んで捕まえられない。「ぬらり」と沈み、「ひょん」と上がってくることから「ぬらりひょん」。こちらの方が名前ふさわしいが、正体は恐らく水クラゲであろう。
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