東北地方(特に岩手県)にいるといわれている子供の妖怪で、大きな屋敷の座敷に住む。座敷は普段家人の者の出入りも少くない。誰もいないはずの部屋から、夜になると物音が聞こえてくる。座敷に入って調べてみても何もいない。因みにこの座敷わらしがいるうちは家が栄え。消えると家は没落する。人によってはこの座敷わらしの姿を見た者もいる。それによると背丈格好は確かに子供であるが、顔はふけた男。女のわらしと二人でいるところを目撃されたこともある。
そして座敷わらしが悲しそうな顔をして家から出て行く姿を目撃すると。その後すぐに、あれだけ繁盛していたその大家はつぶれ、一家は離散の運命にあう。
人気のない広い部屋では小さな物音でも、気にかかるものである。おそらくネズミなどの仕業であろう。それがいたずら好きの子供を連想してしまったのである。
どんな大家でもいずれは落ちぶれる。永遠に栄える家などない。繁盛に浮かれ質素倹約を忘れてしまった者がどういう運命をたどるか。この話は栄枯盛衰の教訓として語り継がれているのである。
今は落ちぶれてしまった家人が栄えていた頃の家を思い出して、それを古くから伝わる伝承に結びつけたのであろうか。
挿話
東北に「金田一温泉」というところがあり、そこで今でもわらしが出るという宿に青山は一度泊まったことがある。もちろんわらしを見るために。
雪深い2月のこと。早々と夕食を済ませ、酒を飲んで寝ていると、たびたび地震のような揺れを感じて目を覚ますが、そのまま寝てしまう。その日は他にも何組かの宿泊客がいたが、わらしの話は知らないようだった。
深夜1時。皆が寝静まった後一人起きだして宿の中を探索する。廊下や窓の外などをデジタルカメラとアナログのスチールカメラで撮影。
また次のことが解った。この家は木造2階建て。青山は2階に寝ていたのであるが、調度真下に団体客が泊まっていた。
地震と思われたものは、階下で人が座ったり立ったりすると、その振動が2階にも伝わってくるということ。
またカメラで撮った写真を現像してみたが、いたることろにオーブ(輪のようなものが写り込む現象)が見つかった。ところが同じ場所をスチールカメラで撮るとオーブはない。低温のためカメラのレンズ内に水滴ができ、それが写り込んだためと考えられる。
また戸外にカメラを向けたとき、窓ガラスに人の顔のようなものが写っていたが、よく見るとそれは雪の塊である。それがフラッシュを受けて光ったものがたまたま人の顔のように見えただけと思われる。
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