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相対性理論 相対性原理


相対性原理

 この節と次の節では、20世紀の(革命的ともいえる)科学上の発見、思想哲学にも大きな影響を与えた「相対性理論」と「量子力学」についてお話しします。
この二つの理論は自然科学の基礎ですが、一般には誤解されていることが多いものです。この二つから我々の常識を超えた話(時間の経過が遅くなるいわゆる「浦島太郎効果」やミクロの世界の不思議な話など)が出てくるため、驚きであるとともに理解しにくい。
では、まずはあの有名な「相対性理論」から。相対性理論といえばアインシュタイン。アインシュタインといえば天才物理学者。しかしその相対性理論はごく当たり前のこの世界の基本原理を基にしていることに注意。

相対性理論は、「相対性原理」を基礎にしています。だから相対性理論というのです。
では、相対性原理とは何か?
簡単に言えば、「いつでも(昨日も今日も1億年後も)、どこでも(地球でもアンドロメダ星雲でも)、誰でも(アインシュタインであろうが青山であろうが)、どのような状態でも(寝ていようが、逆立ちしていようが)観測された自然法則は不変である」というもの。
つまり、「万有引力の法則」を例にとると、二つの物体に働く重力は距離の二乗に反比例するのですが、昨日は、距離の三乗に反比例していたということはありません。場所で言えば、遥かかなたの銀河も比較的近いアンドロメダ銀河も渦巻き形をしているのは、同じ「万有引力の法則」が宇宙のどこでも働いている証拠です。法則は宇宙共通です。人によって違っていたら法則とは言えません。
正しい法則はあくまで一つなのですが、人によっては正しく理解している場合と間違って理解している場合が出てきます。間違っている原因として多いのは、その人の科学知識が浅いということ。だからといって間違っているとは限りません。科学ではこの人の言うことは正しい、この人の言うことは間違っていると、人によって判断してはいけないということです。「あのアインシュタインが言ったことだから絶対に正しい」とは言えません。アインシュタインだって間違えることはあります。アインシュタインは神様ではありませんから。(補足)
つまり、それが正しいか誤っているかの判定は、それを誰が言ったかつまり人によるのではなく、その内容です。当たり前。
科学に権威などありません。権威ある科学者などいません。

ところで、この「相対性原理」はごく当たり前のことを言っているに過ぎないと思いませんか?もしこの「相対性原理」が間違いだったら大変ことになりますね。
「相対性理論」といえば、驚くべき内容かと思えば、ごく常識的なことから理論が組み立てられているものなのです。従ってあなたが自然についてごく常識的な考えをお持ちなら、数学的な難しさは別にして、相対性理論の本質を容易に理解できると思います。
従ってアインシュタインも、まれにみる天才と言うより(神秘主義やオカルトにはまったこともないし)、ごくまっとうな常識人という感じですね。ただし、このごく当たり前のことを人々は見過ごしている可能性も多いと思いますよ。

相対性と言う意味で言うと、自分はこの場所に静止している。それに対して電車に乗っている彼は動いている。なんて言えません。
この動いているとか止まっているとかと言う表現は無意味です。電車に乗っている人から見れば、おれは絶対に止まっていると言い張っている人の方が動いているのです。
相対的に動いているのであれば(互いに自分から見て相手が動いているように見える関係にあれば)、どちらが動いていて、どちらが止まっているかなんてことを論争しても始まりません。それが相対性と言う意味です。(図5「相対性原理とは」参照)
ただし、相手の相対速度は、二人で一致していなければなりません。相対速度と言うのは、自分と相手の間の速度のことです。
Aさんは駅にいて、Bさんが電車に乗っているとした場合、AさんがBさんの速度を測りそれが時速30キロメートルなら、BさんがAさんの速度を測っても同じ時速30キロメートルになるはずです。もし時速40キロメートルになったらおかしいのです。ただし、進む方向は反対です。
これがわからない場合は、相対性原理と言うものがわかっていない証拠です。わからない人はこの先の話もわからないでしょう。

(補足) アインシュタイン自身が失敗を認めている、宇宙項。「わが生涯最大の失敗」と嘆いたという。後に宇宙が加速度的(指数関数的)に膨張していることがわかり、この間違いだと言った「宇宙項」も今また注目されることになった。やっぱりアインシュタインはすごい。と思っている人はわかっていない。とにかくアインシュタインを神様にしないこと。
その他にも比熱の関係式、そして量子力学を最後まで理解できなかったこと。アインシュタインも人間だと言うことです。人間はみな間違えを犯す生き物なんです。
大切なことは、間違いを犯すことではなく、間違いだと気づいたら素直に認めること。それは科学者の姿勢と言うよりも、人間としての基本ですね。


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