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相対性理論 タイムマシン


タイムマシン

 今回はタイムマシンの話です。タイムマシンなど空想上のもので、そんなものが本当に作れるの?と思っている方も多いと思います。青山個人としては、やはりタイムマシンを作ることなんか不可能のように思えますが、一応可能性について(無責任に)考えてみたいと思います。
タイムマシンにもいろいろな説がありますが、(あくまで青山個人の考えで)一番わかりやすくて実現の可能性が高い「ワームホール」を利用したものについて考えてみましょう。
ワームホール(補足1)とは何か?図14「タイムマシン」を参照ください。要するに「ブラックホール」のように時空の歪みが最高に達したもので、人間や宇宙船がその中を通り抜けることによって、宇宙空間のどこにでも一瞬のうちに移動できるアニメによく出てくるアレです。
ブラックホールは相対性理論の重力方程式から導き出される結果ですが、実際の天体でもあります。光でもなんでも吸い込んでしまうアレ。ブラックホールに吸い込まれると、二度と出てくることができません。最終的に中心にある特異点(補足2)というところに落ちて崩壊してしまいます。
この特異点では密度は無限大。従って時空の歪みも無限大。この特異点は宇宙のすべてのものを飲み込みます。ブラックホール自体も他のブラックホールに飲み込み込まれ、合体して大きくなる。やがて宇宙のすべてを飲み込みます。すると特異点が一つになる。つまり特異点同士は未来という時間でつながっている。この特異点同士のつながりを「アインシュタイン=ローゼン(注)の橋」と呼びます。
従ってこの特異点同士をつなげる「アインシュタイン=ローゼンの橋」を渡って、別の特異点から出て来る可能性も無きにしも非ず。ただし特異点に着く前に宇宙船は強い重力のために破壊されてしまうでしょう。当然乗員も死にます。万が一特異点を潜り抜け別のブラックホールの特異点から出たとしても、場所も時間もまったく異なるでしょう。さらにそのブラックホールの特異点が「事象の地平面」(補足3)に覆われていたら、そこから脱出することはできません。
結局ブラックホールの間を移動して宇宙旅行をすることは不可能です。特異点を待たず、事象の地平面もないブラックホールのような(重力方程式を満たす)ものとして考えられたのがワームホールです。重力のような引力ではなく、その反対に空間を押し広げる反重力のようなものを考えて、宇宙船が潰されないようにしたものです。そのような反重力はアインシュタインが最初に付け加えた宇宙項です。ブラックホールと力が反対なだけですから、重力方程式は満たされます。
ただし、この斥力(引力の反対、互いに反発しあう力)を持つと宇宙全体がワームホールになってしまう。だから理論的には可能かもしれませんが、実際ワームホールを作ることなど不可能です。だからワームホールなどという話は、子供のアニメの世界であり、空想上の産物に過ぎないのですが、仮にそんなものがあったらという前提で話を進めます。
ワームホールは空間と別の空間をつなぐいわばトンネルのようなもので、そのトンネルを通過することによって、宇宙のどこにでも一瞬にして行けるものです。そんなものがあったら便利ですね。乗り物なんか一切いらないんだから。
さてここで、図14にある通り、人間をワームホールの入口から入れて、上半身だけを入口から出し、下半身を出口から出したままの状態で、ワームホールの一方の口(上半身のところ)を人間(の上半身部分)と一緒に光の速度で宇宙旅行をさせたとします。光の速度で移動すると時間の進み方が遅くなることは前に示しましたね。すると図のように、地球上(下半身部分)では10年経過しましたが、旅行して戻ってきた上半身は1ヶ月しか経っていない場合もありえるでしょう。
すると図に示す通り、年を取った下半身のもとに、まだ若々しい上半身が戻ってくることになります。もちろんこの年齢の違う上半身と下半身はつながってはいません。若々しい上半身の先には、やはり若々しい下半身があるのです。すなわちもしここでワームホールの上半身側から入れば、昔に戻れるのです。お解かりですか?これがこのワームホールを使ったタイムマシンの理屈です。
しかし本当に過去に戻ることなんか可能でしょうか?よくある話「祖父殺しのバラドックス」(過去へ戻って自分の祖父を殺したなら、どうして自分が生きているのか矛盾)とか、自分が生まれる前に戻り父と母が出会うのを妨害するとか、そもそも10年前に戻ってそこにいる昔の自分を自分が殺してしまったらどうなるんだ?など本当にこれでは世界がめちゃくちゃになります。どう考えてもタイムマシンなんか不可能ですね。(補足4)
(注)ローゼン:1909〜1995 イスラエルの物理学者

 所詮タイムマシンなんか子供のアニメの話。過去に戻ってやり直したいというのは大人の願望としてもあります。しかしそもそもそんな不可能なことを願うより現実を見よと言いたい。人間は犬や猫ではないのですから。
自分は何のために生きているのか、生きる目的を考えないから、失敗続き、後悔続きの人生になるのです。生きる目的が定められたなら、たとえ失敗しても、過去に戻りたいなどという不可能な願望は抱かなくて済むはずでは?

(補足1) ワームホールとは、リンゴなどにできた虫食いの穴をイメージした言葉。トンネルのように宇宙空間の遠方を結ぶ近道の意味。ブラックホールは文字通り光を発しないからブラックホールと言う。

(補足2) 回転していないブラックホールの場合は中心に特異点がある。回転している場合はもっと複雑になる。

(補足3) 別名シュバルツシルド面。その球面の内部から外へは光の速度でも脱出することができない。永遠の牢獄のようなもの。因みに地球の大きさが約2センチメートルよりも小さくなると事象の地平面を持ちブラックホールとなる。注意してほしいのは、質量を持つものはみな特異点を持つ。地球だって、人間の体だって、特異点を持つということ。 

(補足4) タイムマシンはSFの域を出ない。まずどうやってワームホールを作るのか?できたとしても一瞬にして消滅してしまうものであればそれを利用することができない。ワームホールを通過するためには、一定時間それが存在している必要がある。ワームホールを本当に物体が通過できるのか?ワームホールは山にあけたトンネルとは異なり、電子一つさえそこを通過しようとするとその影響で崩壊してしまうかもしれない?なぜなら電子もワームホールも空間の歪みだからである。ワームホールの一方をどうやって加速させるのか?加速させるためにはその部分が質量を持った物質のように力を受けるものでなければならない。
  
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