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雇用と人材


■雇用と労働
 経済に関わる課題で優先に取り組まなければならないことは、いつの時代でもまず失業者対策が挙げられると思います。失業者は収入がないのですから、生活の維持すらできない状態となります。
働く意志がない者は別ですが、働きたくても職がない状況は社会における最も深刻な問題といわざるを得ないでしょう。
ただし、自由経済のもとではある程度の失業が発生するのは本にやむをえないこと。中には失業者本人の事情によって、職種や労働条件が限定され、なかなか仕事に就けない場合もあります。それを本人の希望を無視して何でもかまわないから無理やり職に就けさせることは、職業選択の自由に反します。
とは言うものの、失業者対策としては行政が中心となってできる限りサポートする体制を整えることが社会の責任と考えます。
ところで通常の(様々な理由により国内の経済システムが混乱、または不安定な状態ではとりあえずない)経済状況下で、失業者は全体の何パーセントを占めるでしょうか?
【参考】社会における各労働人口の割合
就労希望者(子供やお年寄り、専業主婦等を除いた)の割合
※国によってまったく事情が異なるため、以下については何も参考にならないことをお断りしておきます。
(1)事業経営者(会社の規模によらない)・・・10パーセント
(2)自営業者(個人商店の経営、農業等)・・・20パーセント
(3)正社員(公務員を含む)・・・40パーセント
(4)非正規雇用の労働者(派遣社員)・・・20パーセント
(5)失業者・・・10パーセント
この失業者の割合が10パーセントとは多いように思えます。因みに日本は、3パーセント前後だそうです。失業者率が低いのは、経済が完全に自由化されていないことが要因では?変動が激しい自由化された経済社会では、市場は戦場であり、失業率が一桁なんて普通は考えられません。失業者を減らすために政府は市場等に強制的に介入して、何らかの手を打つべきだという意見もありますが、経済は経済、行政は行政です。前にも言いましたが、経済と政治はまったく目的が異なるものです。
どんなに優秀で高給取りのビジネスマンでも会社が倒産すれば今日から失業者です。会社が倒産することは自由経済下では当たり前です。公務員は別にして一生同じ会社に勤めることは滅多にない。会社の寿命も10年、堅実に会社を運営していても20年30年の寿命。昔の終身雇用などはもはやあり得ないことでしょう。
ただし、失業者は毎日遊んでいるわけではありません。当然職探しに出かけています。あとは自己学習、技能習得など。就業時よりも忙しいかもしれません。
行政や地方自治体、あるいはNGOその他は、失業者のニーズをもとに、情報提供、職探し、職斡旋、自己学習などの支援を重点的に行う必要があると考えます。

■派遣労働事業
 これからの社会において、人手がほしいという会社のニーズと職に就きたいという労働者のニーズに応え、職の斡旋を専門に行う派遣労働事業が盛んになると個人的には思っています。ただし、ブラック派遣など、労働者の弱い立場に付け込んで、不当に儲ける派遣業者は徹底的に取り締まるべきです。(補足1)
法律(派遣労働法)によって、労働者の保護と派遣業者の義務、規制を明確に謳わないとダメです。あわせて行政による事業者への監視も強化してほしいものです。
その派遣システムの内容を図67「人材派遣業」に載せています。(あくまで案です。これが現在の派遣システムの実態ではないのでご注意下さい)

■これからの就職と採用のあり方
 日本も他の国も大体そうですが、子供はまず勉強します。勉強を終えて大人になったらどこかに就職します。会社に就職したら新入社員となって社会人一年生となるのです。しかし初めて社会に出た者に即仕事ができるわけはありません。一人前になるためには時間が必要です。その間まったくのタダ飯を食わせることになります。学校の勉強と実際の会社の仕事では内容的に天と地ほどの違いがありますから。(補足2) いきなり成果を求められる仕事を任せるには無理があります。(補足3)
とは言うものの最初は右も左もわからない駆け出しを、ある程度の愛情を持って育てるのも会社の務め。社会の責任と言えなくもない。(もちろん義務はありませんが) 経験者しか採用しない考え方では、人材は集まりません。すなわち人の活性化が行われないため、やがて会社は衰退の道をたどるでしょう。
普通会社は新人を見習いとして雇います。昔で言えば「丁稚」です。自分で仕事を覚えて早く一人前になってくれればいいのですが、保障はありません。いずれ会社の戦力なるという期待が常にあたるとは限りません。会社としては人を見極めるために、できれば最初は派遣社員として採用し、ある一定の期間その働き振りを見極めた上で、正社員として雇用する。その方がコスト安だし、失敗(ろくでもない人間を雇う心配もない)も防げる。
ということで、夢多き若者たちには不満でしょうが、これからの就職はいきなり正社員になることは難しい状況。まずは派遣社員の身分で仕事の経験を積んで改めて、というより派遣先の会社で認められた上で正社員になる。それまでは当然給料は少ない。食べていくのがやっとといったところでしょう。
しかしこれが社会というものです。学歴を積んだところで、そんなものはビジネスの世界では何の役にも?たたない。いくら有名大学を出たからといって、その学歴を看板に会社の門を叩いても、2、3年修行して来いといわれるのが落ち。仕方がない。
就職は買い手市場が基本です、なぜなら生産性のない社会人に一人前の給料なんか出せませんから、そこで経験を積んで一人前になって初めて本物の報酬を得る。
売り手市場になり学生たちは引く手あまた。企業側は少しでも優秀な人材を得ようと必死。そんな最初から優秀な人材なんているわけないのに。
青山が思うに、売り手市場では会社は人を使い捨てる。それに対して買い手市場の方が人を大切にするような気がします。なぜなら必死に自分を売り込もうとする学生たちの努力を会社が認めるからです。そういうやる気のある人間を会社は大事にするからです。
社会とはそういうものだ。近い将来必ずこうなる?かもしれない。
つまり社会は多少不景気の方がいいのです。バブルみたいなものは必ず崩壊します。そんな一時の好景気に浮かれず、あるいは他人がいくら儲かったとか、そんなことに気を取られず、自分のやりがいがあることをやる。それでいいのです。金の卵とか、バブル景気なんて、もう二度と訪れない。社会は厳しい。それが当たり前なのです。
そして晴れて正社員になります。(補足4)
会社の育成はOJT(仕事の中で自己啓発、自己学習に努める)が基本。昔は優秀な新人社員を海外に留学させるなんて制度もありましたが、もはや会社にはそんな余裕は期待できません。1円でも無駄にできない切羽詰った財務状況の中、留学なんかとんでもない。(補足5)
もはや、会社は人を育てません。自分で自分を育てる時代です。そうして経験を積みながら企業人としての自覚を持つとともに、労働者としての権利を主張できるようになるのです。自分で自分を研鑽する。責任を持つ。それが自立した社会人、それはまた自立した人間のことをいうのです。

 余談ですが、日本は古来より労働は尊いもの、神に奉仕することと同じに扱われてきました。だから身命を惜しまず働くのです。これは実に素晴らしいことだと思います。ただし、この労働観は市場経済には合いません。西洋およびイスラム圏では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の世界観がペースで、「労働は神が与えた罰」だという認識です。だからあまり働きません。働いたら働いたで必ず報酬を求める。それが当然の権利だと。そう割り切ることにより市場経済の中で成功を収める者も多いようですが、そもそも日本人の労働観は違います。市場経済で西欧諸国と競争しようとすることが間違いなのです。別に西洋に経済で勝てなくてもいいじゃないですか?労働は罰だなんて、何か嫌々働いている、あるいは無理やり生かされている感じです。労働に喜びを感じない。そんな愚かな宗教観は捨てた方が幸せかも?しれませんね。
つまり欧米人の多くは”労働”イコール生活のために”報酬を得ること”。そう勘違いしているわけです。働くことは何も報酬を得ることだけではありません。会社の仕事でも人と人が協力して価値の高い物を作りあげる。その上で他人と触れ合う。信頼関係を結ぶ。その過程で仕事をする喜びが生まれるのです。その辺がバカな西洋人(および西洋かぶれ、市場原理しか頭にない日本人)には分からないようです。実に哀れです。

(補足1) ペナルティとして操業を無期限停止。するとほぼ間違いなく会社倒産に追い込まれる。従業員全員解雇ということになれば、少しは派遣労働者の辛い立場が理解できるでしょう。

(補足2) 学校はお金を払って勉強を教えてくれるところ。会社は仕事をしてお金をもらうところ。お金の流れから見ればまったくの正反対。

(補足3) 学校で仕事を覚えても、それは学習の一環であり本当の仕事(労働)ではありません。本当に仕事をさせたのなら、給料を支払わなければなりません。
そうしないとタダ働きさせたことになるのです。といって給料を与えることはできません。もし与えたらそのお金はどこから出るの?業績も上げてないのに、支出だけ出る。その支出科目は何で落とす?

(補足4) 人間は一生の間に仕事の中身が変化する。まずは学生から始まり、次に派遣社員、そして正社員、人生うまく運んでいると思ったら会社が倒産、失業者に転落。そしてまた派遣社員、正社員と立場が変わる。つまり、派遣社員→正社員→失業者→派遣社員、そしてまた正社員に戻る。この循環を一生のうちに何回繰り返すか?

(補足5) 日本では優秀な若手の上級公務員に対して、公費で外国に留学できる特典を与える場合があるそうです。税金の無駄?のような気がします。勉強したかったら私費でやれと。それが社会の常識です。

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