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相対性理論 双子のパラドックス


 双子のパラドックス

 ここでは、相対性理論でも有名な「双子のパラドックス」についてお話ししましょう。
この話は昔からよく話題に上り、今日においてもまだ議論されているものです。
図10「双子のパラドック」のように、同じ歳の双子の兄と弟がいて、兄の方がロケットで宇宙旅行を行い何年かして地球に戻ります。弟はずっと地球にいました。相対性理論によると運動するものは時間が遅れる。するとロケットに乗った兄の方が若いということになります。
しかし運動は相対的ですから、逆に兄は静止していて、弟が地球と一緒に運動してきたとするなら、弟の方が若いことになります。さてどっちが正しいのでしょうか?(補足1)
ここで誤解してほしくないことは、加速度運動も含めて運動は全て相対的となります。説明図の2ページ目をご覧ください。みんなさんも経験したことがあるでしょう。上り下りの電車が駅に停車しています。車窓から眺める反対側の電車が発車しました。そう見えるだけで自分が乗っている電車の方が発車したのか?加速度運動だけで見ると分かりません。
電車が目の前から通り過ぎたとき、そこにまだ駅の風景があったら、走り出したのは向こうの電車だと分かるでしょう。(直接相対性理論とは関係のない話ですが、人間の気持ちから言えば、自分が乗っている電車の方が発車したと思い込む。それが反対側の電車が動いたと分かった瞬間、少しがっかりです。なぜなら早く目的地に着きたいという心理が働くから)
加速度も相対的なら、では兄と弟どっちが若い?
答えはもちろん、兄の方が若い。なぜでしょう?大事なことを見落としていませんか?この場合問題となるのは時間です。時間を計るには時計が必要です。ところで兄と弟は同じ時計を持って、別れる前にちゃんと時刻を合わせたんでしょうね?「もちろんです」ところでその時計はどこどこ製ですか?「スイス製です」スイス製ということは地球製ですね?ところでその時計はゼンマイ式ですか?「いいえ、柱時計です。ロケットの兄の個室に掛けておいたのです」
地球製の時計は当然地球以外では正確な時は刻みません。すべての時計は、力が全く働いてない空間上(これを慣性系と言います)において一定の(変化しない)力(例えば地球の重力)が働いたときに正確に時を刻むものです。ゼンマイ時計も柱時計も水晶時計もみな同じ原理です。
地球から離れれば地球の重力がなくなり、その柱時計(実は振り子時計)は使い物になりません。振り子時計のような地球の重力を利用しない水晶時計の場合はどうでしょうか?この水晶時計も電気的な一定の力が作用します。この電気的な力は地球を離れた宇宙空間においても正確に一定の強さで作用します。しかしその際余計な加速度が加わります。その加速度によって質量を持つ物すべてに力が加わるのです。すると時計は狂います。
つまり加速度は相対的にあっても、その際発生する力は相対的ではない。登り電車の乗客に働く場合(この時駅に対して上り電車が発車した)もあれば、下り列車に働く場合もあるし、もしくは両方に働くこともあり得ます。(しかし働き方は異なる)
お解りですか?たとえ兄の持っていた時計が柱時計でなくても、その時計に力が加わった時点で時間が狂うのです。その際兄の時計を補正する必要はありますか?ありませんよ。兄は止まっていると言い張っているんだから。
それに対して弟の時計は、地球の外に持ち出さない限り、正確に時を刻み続けるのです。
兄の時計は力を受けて慣性系を一旦離れた時点で正しく時を刻んでいるという主張は成り立たなくなります。その力に対して故意に反対の力を作用させて見かけ上力を相殺させても(補足2)、物理的な痕跡(故意に力を消したという証拠)は残ります。

(補足1) 教科書の中に、頭から「動いているのは兄の方で弟は静止しているのだ」ということを前提にしているもの、動いているのは兄だという考え方から抜け切れていないものをよく見かけます。しかし、兄が動いているというのは単なる思い込みかもしれませんよ。同様に、「加速度は相対的ではない」とか「加速度を考慮しない特殊相対性理論でも説明できる」とか、よく出てくる時間と空間を表した図の中の運動(これを世界線と言います)として三角形が描かれますが、同じ三角形は兄から見た場合も描けるでしょう。(ただし、三角形は慣性系でないと描けない、この慣性系と言うことの意味が説明されていない。当たり前のことは省略してもいいのか?)
まるで他の教科書の記載をそのまま疑いもせずに流用したような感じです。青山が言いたいのはこうです。「兄は止まっている。(全ての銀河を含めて)宇宙全体が動いている(注)」というもの。「宇宙全体が動くわけない」というのは、思い込みではありませんか?
(注) どのような原因で宇宙全体が動くのかは別にして

(補足2) ロケットが地球から飛び立つ際、エレベータが上昇するときと同じように、ロケット内部では下向きの力が働いた(体重が重くなった)感じがします。その時の力をばね秤のばねの伸び具合で表すとしましょう。そこに故意に外部から力を加えてばねが伸びていないように見せかけることも可能です。

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