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ビッグバン宇宙論


 夜空を眺めたとき星はいくつあるのか数えたことがありますか?よく見ると暗い星ほど沢山あります。なぜ明るい星ほど少ないのでしょうか?
その答えは、宇宙空間には満遍なく星があるということ。遠くにある星ほど暗いですからね。もし明るい星しかなかったら、星は地球の周りにしか存在しないことになりますよ。
 次になぜ夜空は暗いのでしょうか?遠くにある星ほど暗く見えます。しかし宇宙に星が無数に存在するなら、星の光は合わさって夜空は眩しいくらいの明るさになるでしょう。そうならないのはなぜ?(補足1)
答え、星の数は大変な数ではあるが無限ではない。ということは、宇宙の大きさも無限ではない。なぜなら無限に広い宇宙に星が有限しかないなんてことはないからです。
 宇宙の大きさが有限なら、宇宙全体のエントロピー(補足2)はなぜ無限大にならないのか?
答え、宇宙が誕生してから今日までの時間は有限だから。宇宙は無限の過去から存在しているわけではない。宇宙には始まりがあった。
どうも、無限と思われていたこの宇宙が時間的にも空間的にも有限だったとは。
その証拠は20世紀になって発見されました。
望遠鏡で非常に遠くの天体(銀河)を観測したところ、遠くにあるものほど、速いスピードで遠ざかっていることが解ったのです。(補足3)
つまり宇宙全体が膨張していること。ならば昔の宇宙はずっと小さかった。最初は大きさがゼロの状態から宇宙が誕生した。
計算によると宇宙は約130億年前(最近の研究では138億年前)に誕生したというもの。その宇宙誕生の現象をビッグバンといいます。つまり最初宇宙は大変な高温高密度の状態であったというもの。それが膨張するにつれて次第に冷えていき現在の宇宙になった。という考え方を「ビッグバン宇宙論」といいます。(補足5)
これまでは宇宙は無限に広大で、時間的にも無限の過去から存在していたと思い込んでいたのです。しかし、実はそうではなかったというもの。

(補足1) 星の光に限らず電燈の明かりだって、そこから離れれば離れるほど(見かけの明るさが)暗くなります。調度距離の2乗に反比例して暗くなる。それに対して、もし宇宙に万遍なく星があるなら、星の数は距離の(世界は3次元だから)3乗に比例して数を増します。すると3乗を2乗で割るから、明るさは距離の1乗に比例して増大する。宇宙が無限に広いなら、明るさは無限大になります。

(補足2) 図23「量子力学とエントロピー」を参照願います。
熱力学の第二法則によって、エントロピーつまり世界の無秩序さが時間とともに増大する。
もし宇宙が時間的に無限の過去から続いているなら、現在のエントロピーは無限大に達しているはずです。すると人間のような生物が存在していること自体がおかしいのです。

(補足3) 原子は特有の波長の光を発生させたり、逆に吸収したりする性質を持っています。その特定の波長の光を原子スペクトルといいます。
たとえば水素にも固有のスペクトルがあるのですが、遠い星(恒星は主に水素から出来ている)ほど、その波長が長くなる。(これを赤方偏移といいます)
これはドップラー効果(補足4)によるものです。

(補足4) 音の波、たとえばサイレンを鳴らした救急車が通り過ぎるとき、通り過ぎる前と後ではサイレンの音の高さが変わりますね。
音を発しているものが近づいてくると音は高くなり、遠ざかると低くなります。これがドップラー効果。光も同様、高速で近づいてくるものは
青味がかって見え、遠ざかって行くものは赤味がかって見えます。

(補足5) ビッグバンの証拠については、図33「ビッグバンの証拠」を参照願います。遠い銀河ほど速く遠ざかっていることの他にもビッグバンの証拠として、宇宙のあらゆる方向から微弱な電波がやってきている。これを「宇宙背景放射」と呼びます。それは、宇宙の初期に莫大なエネルギーが電磁波として放射されたときの名残として、宇宙空間が引き伸ばされたことによって、波長が延びた電波が今現在観測されているということです。

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